20歳越えたら仲間入りする奥歯とは?
こんにちは。広島市南区東雲本町にある江夏歯科医院です。
今回は『親知らず』についてお話しいたします。
「親知らず」、この言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
その中で、「親知らずの抜歯は痛い」という印象をお持ちの方、
そして「抜くのが怖い」とお思いの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜそのように言われるのか、本当にそうなのかについて説明していきたいと思います。
《親知らずについて》
(1)親知らずとは?
→前歯から数えて8番目に位置する奥歯のことで、上顎と下顎の左右に生える歯のことを指す。
(2)何歳ごろに生えてくる?
→10代後半~20代前半に生えてくることが多く、他の歯に比べると遅いことが特徴。
(3)親知らずは必ず生えるのか?
→生えるかどうかは人それぞれ。
4本生える人もいれば、生え揃わない人、全く生えない人もいる。
顎の大きさと歯並びのアンバランスによって生えるスペースがなかったり、
歯が生えてこれない方向だったりで歯肉の中に埋まったままはよくあるが、
最初から親知らずが存在しない場合もある。
(4)親知らずは必ず抜かなければいけない?
→抜いた方がいいものと、抜かなくてもいい親知らずがある。
親知らずが斜めや横向きに生えているのが口の中で確認できる場合、
咬み合っていない場合、むし歯や歯周病になっている場合は抜歯を検討したほうが良い。
《親知らずの抜歯が痛いと言われる理由について》
(1)親知らず抜歯後に痛みや腫れが生じる理由
→複雑な生え方をしている場合は、抜歯する際に歯肉を切開したり骨を削ったりする
こともあり、それが下顎であれば解剖学的な構造上、歯周組織に炎症が波及しやすく
腫れや痛みが出やすい。
(2)親知らず抜歯後に痛みが続く原因
→ドライソケットになっている可能性がある。
抜歯した穴をいわゆるかさぶたで満たされることで治癒促進されますが、
うがいをしすぎたりでかさぶたまで洗い流されると
抜歯した穴の中では骨が露出し細菌感染につながるドライソケットとなる。
ドライソケットになると、抜歯後の強い痛みが続きますが早期の治療により
1週間程かけて少しずつ痛みが引いてくる。
長い人はトータルで1か月ほど完治まで時間がかかる。
(3)抜歯箇所が細菌感染している
→処方された抗生物質をきちんと服用しない場合、抜歯箇所が細菌感染を
起こして痛みが続く場合がある。
(4)咬み合わせが変わり隣の歯が圧迫されている
→親知らずが横向きや斜めに生えていたり、根っこが長かったりすると、
抜歯する際に骨や手前の歯への負担が大きくなる。
また、親知らずは隣の歯を押し出しながら生えてくるため抜歯後
咬み合わせに若干の変化が生じ痛みが生じることもある。
《親知らず抜歯後に痛みが続く場合の対処法》
①鎮痛剤や抗生剤を服用する
②歯医者で患部を洗浄してもらう
③抜歯後の食事に気を付ける
辛い食べ物や刺激物、硬い食べ物は刺激を与えるため控える
④喫煙・飲酒・激しい運動を控える
体が温まり血行が良くなると炎症が強くなり痛みが増す
ここまで親知らずについて説明してきましたが、正しい方向に生えていて周囲に悪影響を
与えていないのであれば、必ずしも抜歯しなければいけないというわけではありません。
痛みや腫れが出る場合もありますが、処方薬を飲んでいれば一般的には2~3日ほどで
痛みはなくなり、長い人でも1週間あれば治まります。
痛む親知らずを放置していると、むし歯や歯周病のリスクが高まり周囲の組織に悪影響が及び、
口が開けにくくなり喉も痛くなることも。
以上、自分の親知らずの状況が気になるという方、親知らずの抜歯を検討している方
がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
文:大山桃子